IIC News Letter 第4号(令和7年1月配信)
<IIC News Letter第4号>
北海道国立大学機構の産学官金連携統合情報センター(IIC)がお届けするIIC News Letter第4号です。定期的に三大学の教育研究活動や行政・サービス機関、産業界からの最新情報を分析・整理して皆様にお届けします。
目次
1. 北海道国立大学機構の研究紹介
2. メタン発酵消化液の液肥利用
3. AIを活用した持続可能な社会・産業の実現 ~食品・農作物の廃棄ロス削減~
4. 特許情報
1. 北海道国立大学機構の研究紹介
北見工業大学には、身体の疲労度がすぐに分かるウェアを開発している研究者がいます。
これまで、汗に含まれる乳酸が疲労度の指標となることはわかっていましたが、運動者自身が身体の疲労度を直ちに把握する手法は限られていました。地域未来デザイン工学科の兼清泰正准教授は、汗中の乳酸濃度に依存して図柄が変化するウェアの開発に取り組んでいます。
兼清准教授は、様々な模様に描いた乳酸応答性ポリマーを布地と複合化し、布地表面に図柄を形成させることに成功しました。
汗中の乳酸濃度に応じてその図柄が変化する技術の開発により、運動者自身、また、まわりの人からも一目で疲労度を把握することができ、トレーニングの最適化や過剰な運動の防止、さらには熱中症の予防などを通じ、人々の健康づくりに貢献可能となります。
北海道国立大学機構・三大学には、このような特徴的な研究を行っている研究者がたくさんいます。
乳酸濃度に応答した図柄の変化
2. メタン発酵消化液の液肥利用
家畜排せつ物や食品廃棄物を発酵させて得られるメタンガスを燃料としたバイオガス発電施設では、副産物として原料とほぼ同量のメタン発酵消化液が生じます。このメタン発酵消化液には、窒素、リン酸、カリ等の肥料成分が含まれ、液肥として利用すれば化学肥料の使用量を削減でき、資源循環という点でも活用が期待されています。
メタン発酵消化液は、バイオガス発電施設から農地に輸送され、散布車により散布されますが、そのほとんどは水分(90%以上)であるため、北海道の広大な農地へ散布する場合には散布車に何度も補給する必要が生じ、コストや手間がかかります。また、散布時に風の影響を受けて目的範囲外に飛散し、他の農地に影響を及ぼしたり、散布ムラが生じたりすることがあります。
このため、散布車に補給する頻度を減らして効率的に散布するために、メタン発酵消化液を濃縮する技術や、飛散を防止して均一に散布する技術の開発が求められています。
北海道国立大学機構・三大学でも、メタン発酵消化液を資源として活用するための研究がすすめられています。このような資源循環の課題を地域で共有し、議論を深めたいと考えています。
3. AIを活用した持続可能な社会・産業の実現 ~食品・農作物の廃棄ロス削減~
持続可能な社会・産業の実現に向けてさまざまな分野でAIの活用がすすめられておりますが、北海道地域に関係の深い食品・農作物の分野も例外ではありません。
食品・農作物に関係する分野では、廃棄ロスによる経済的、社会的な問題が生じており、AIを活用して生産から消費に至る過程の効率性改善や供給過剰をなくす取り組みが行われています。
例えば、農作物調達AIプラットフォームを開発する企業では、廃棄野菜を削減するために、AI技術を用いて農作物の収穫量と収穫予定日を予測するシステムを構築しています。また、規格外の野菜や、想定よりも多く収穫される可能性のある作物について、収穫前に食品業者へ情報提供できるしくみをつくり、必要な場所に適切な出荷ができるようにしています。
さらに大手小売企業では、AIによる発注システムを構築し、販売実績データをもとに商品の需要を予測してムダな廃棄を生み出さない取り組みが行われています。
北海道国立大学機構・三大学においても、AIを活用する多くの研究が行われています。北海道広域連携プラットフォームでは、AIを活用した地域課題の解決について議論を深めたいと考えています。
4. 特許情報
機構・三大学が有する知的財産権を順次ご紹介しています。共同研究やライセンス契約をご検討の際にご活用ください。
IIC News Letter 第4号では、以下の特許をご紹介します。内容は、特許請求の範囲、発明の詳細な説明、図面の記載に基づいてまとめたものです。
機構・三大学の特許等、知的財産にご興味がある方は、ワンストップ窓口にお問い合わせください。
第4号では、
・特許第6461635号 可視光応答性光触媒及びその製造方法
・特許第6301119号 インターネット上の有害書き込み検出装置及び検出方法
をご紹介します。
※画像を選択するとPDFファイルが開きます。
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北海道広域連携プラットフォームは、北海道における様々な課題を共有し、産学官金連携によって解決に導く場です。皆様からのご意見、ご要望をお待ちしています。
国立大学法人北海道国立大学機構
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