IIC News Letter 第24号(令和8年9月配信)
<IIC News Letter第24号>
北海道国立大学機構(北学機構)・産学官金連携統合情報センター(IIC)がお届けするニュースレターです。
研究や人材育成の取り組み、行政・サービス機関、産業界からの最新情報をわかりやすく皆様にお届けします。

目次
1. 「2026 知財・情報フェア&コンファレンス」に出展しました
2. 大学の教職員を対象とした知財研修を実施しました
3. AIで変わる発明、変わる知財――大学は研究成果をどう社会につなぐか
1. 「2026 知財・情報フェア&コンファレンス」に出展しました

――知財・情報フェア&コンファレンスで取組み紹介
北海道国立大学機構(北学機構)は、2026年9月16日(水)から18日(金)まで東京ビッグサイトで開催された「2026 知財・情報フェア&コンファレンス」に出展しました。
北学機構は、小樽商科大学、帯広畜産大学、北見工業大学の3大学が持つ教育・研究の強みを生かし、北海道の地域課題の解決や産業の発展に貢献することを目指しています。今回の出展では、3大学それぞれの特色ある研究分野に加え、大学の枠を越えて取り組む融合研究、そして、そこから生まれる知的財産を社会につなげていくための紹介をしました。
小樽商科大学は、経済・経営を中心とした社会科学の知見を、帯広畜産大学は、食料・農畜産分野に関する専門的な研究力を、北見工業大学は、工学・情報・技術分野の研究力を有しています。これら異なる専門性を掛け合わせることで、単独の大学だけでは生み出すことが難しい新たな研究・技術開発の可能性が広がります。
ブースでは、こうした3大学の強みを融合した研究の事例や、研究成果を知的財産として適切に保護し、企業や地域社会との連携を通じて社会実装につなげていくための取り組みを紹介しました。
来場者からは、「場所が離れた3大学でどうやって連携をすすめているの?」、「理系大学同士の農・工の連携から、さらにビジネスにつなげる商・農・工の連携を期待しています」、「特許だけではなく、商標も活用して機構3大学のブランド戦略にも力を入れていくといいね」といった声もいただきました。3大学のキャンパス間の総移動距離が700kmを超えるため、オンライン会議も活用しながら連携や取組みをすすめていることを伝えると、規模の大きさに驚く人もいました。
大学の研究成果には、特許権の取得や事業化につながる技術・アイデアが数多く含まれています。これらを企業等との共同研究や技術移転などにつなげることで、研究成果を新たな製品・サービスや社会的価値へと発展させることが期待されます。
――十勝型フードシステム形成プロジェクト
また、「十勝型フードシステム形成プロジェクト」に関するパネルも展示しました。十勝は、農業を基盤として、食品加工、流通、販売、観光など、多様な産業がつながる食の一大集積地です。農畜産分野の知見に加え、工学・情報技術、経済・経営など、3大学それぞれの専門性を組み合わせることで、食に関わるさまざまな課題を総合的に捉え、新たな価値を生み出す可能性があります。
十勝型フードシステム形成プロジェクトの紹介を通じて、地域に根差した研究と、大学の専門知を組み合わせることの意義についても発信しました。北海道が有する豊かな一次産業や地域資源を、技術革新や経営・マーケティングなどの知見と結び付けることで、地域産業のさらなる発展につながることが期待されます。
――来場者へのアピール
今回の出展では、企業の研究開発・知財担当者をはじめ、大学・研究機関、知的財産関係者など、さまざまな分野の方々に本機構の取り組みを紹介することができました。展示を通じて寄せられた質問や意見からも、北海道国立大学機構が有する3大学の多様な研究力と、その融合によって生まれる新たな可能性への関心の高さがうかがえました。
3大学の強みを「掛け合わせる」ことで、新たな研究テーマや技術、そして知的財産が生まれ、それを社会へつなげることで、北海道の産業や地域の発展に貢献する。今回の出展は、こうした北学機構の取り組みを広く知っていただく貴重な機会となりました。
北学機構では、今後も小樽商科大学、帯広畜産大学、北見工業大学の連携・融合をさらに進め、研究成果の知的財産化と社会実装、産学官連携を推進していきます。3大学それぞれの強みを生かしながら、北海道から新たな価値を創出し、地域社会と産業の発展に貢献してまいります。
お問い合わせはワンストップ窓口まで。
2. 大学の教職員を対象とした知財研修を実施しました

北学機構では、研究成果を知的財産として適切に保護し、社会で活用していくための知財人材の育成に取り組んでいます。その一環として、大学の教職員を対象とした研修「教職員が知っておきたい知財のツボ~研究成果を活かすには~」を実施しました。
大学における研究成果は、論文として発表されるだけでなく、新たな技術や製品、サービスにつながる可能性を持っています。一方で、その価値を社会につなげるためには、研究成果を適切な形で知的財産として保護することが重要となっています。
研究成果を「どのように権利化するのか」、「どこまで権利として守るのか」、「どのように活用につなげるのか」。今回の研修では、こうした研究成果の社会実装に関わる知財の基本的な考え方について、企業、行政、大学という異なる立場から知的財産を捉え、研究成果の権利化と活用について考えました。
具体的には、特許出願において「どのような明細書を書く必要があるのか」という点に関し、研究成果の技術的な特徴をどのように整理し、特許として保護する内容に落とし込んでいくのかを考えました。
また、特許権の「権利範囲」についても取り上げました。特許は、単に研究成果そのものを登録するものではなく、将来の技術利用や事業化なども見据えながら、どのような範囲を権利として確保するのかを考える必要があります。
企業が大学から生み出された技術を社会で活用していくために、北学機構はどのような取組みが必要かを考え、実践しています。
今回の研修は、研究成果を生み出し、その成果を権利化して社会で活用していくために、教職員一人ひとりが知っておきたい知識や考え方を学ぶ機会となりました。
北学機構では、小樽商科大学、帯広畜産大学、北見工業大学のそれぞれが有する研究分野や専門性を生かし、大学間の融合研究や産学連携を進めています。そこから生まれる研究成果を社会につなげていくためには、研究活動の早い段階から知的財産を意識し、研究者と知財・産学連携部門が連携して取り組んでいます。
今後も、教職員の知財に関する理解を深める機会を設けながら、研究成果の適切な保護と活用を推進し、企業や地域社会との連携を通じた社会実装につなげていきます。
皆様、ぜひ北学機構とともに未来をつくっていきましょう!お問い合わせは、ワンストップ窓口まで。
3. AIで変わる発明、変わる知財――大学は研究成果をどう社会につなぐか

――AIと知的財産
特許庁の調査では、AI関連発明の日本への特許出願件数は増加を続け、2023年には約11,400件となりました。一方、AI技術そのものに特徴がある「AIコア発明」は約2,400件。注目したいのは、その差です。AIそのものを開発する発明だけでなく、AIをさまざまな技術分野に応用した発明が広がっています。AI自動運転システムや医療画像から病気の早期発見や予測する技術などです。また、特許庁の分析では、画像処理・画像認識に加え、AIによる顧客分析や需要予測など、ビジネスに適合した情報通信技術に関する出願の増加も見られます※1。
そして、3大学の研究分野に関わる、農業、食品、材料、製造、環境、サービス――。それぞれの研究分野にAIが組み込まれることで、新しい技術や研究成果が生まれ、その成果が特許の対象となる可能性も広がっています。
この変化に対応しているのは、研究現場だけではありません。
特許庁では、AI関連発明について、最新の技術知識や審査事例を共有する「AI審査支援チーム」を設け、技術分野を越えて審査官が連携しています。さらに2024年には、外部有識者から技術的な助言を受ける「AIアドバイザー」も新設されました。AI関連発明を適切に審査するために、知財制度を運用する側も技術の変化に対応しようとしています※2。
――大学ではどうなっているか?
大学の研究現場でも、AIを使って新しい材料を探索する、膨大なデータから農作物の生育条件を分析する、食品の品質を予測するなど、AIを研究の道具として活用する場面が増えています。
重要なのは、AIを使うこと自体ではなく、AIを活用して生まれた研究成果をどう見いだし、どう守り、どう社会につなげるか。
例えば、AIによって多数の候補の中から新しい技術的アイデアを見つけたとしても、それだけで社会実装につながるわけではありません。研究者による検証や改良を経て、現場の視点を加味することで技術として確立し、その特徴を適切に知的財産として保護する。そして、その技術を必要とする企業や地域とつなぎ、製品やサービスなどの形で社会に届ける。研究成果を「発明」で終わらせず、「使われる技術」へと育てるプロセスが必要です。
これは、大学と企業の関係にも変化を求めることになりそうです。
企業にとっては、大学の研究成果を早い段階から知り、研究者との対話を通じて、その成果が将来の事業や技術につながる可能性をともに探っていくことが、産学連携の一つのきっかけになります。
大学にとっても、研究成果を論文や特許として外に出すだけではなく、企業がどのような課題を抱え、どのような技術を必要としているのかを知ることが、社会実装への重要な手がかりになります。
北学機構には、小樽商科大学、帯広畜産大学、北見工業大学という、それぞれ異なる専門性を持つ3大学があります。経済・経営、農畜産・食品、工学・情報。こうした多様な知をAIによって組み合わせることで、新しい研究テーマや技術が生まれる可能性があります。
私たちはAIを「知財上の新たな課題」としてだけ捉えるのではなく、研究成果を生み出し、それを知的財産として守り、企業や地域とともに社会実装へつなげるための新しい機会として捉えたいと考えています。
――AI時代の研究開発と知財・産学連携
AIによって研究開発の方法が変わる今、大学の知財・産学連携も変わる必要があります。
研究者、企業、知財専門家、そして大学。それぞれが持つ知識や経験を持ち寄り、AI時代に生まれる新しい研究成果をどのように価値へ変えていくのか。
北学機構は、3大学の強みを生かしながら、ステークホルダーの皆さまとともにその答えを探し、北海道から新しい研究成果の社会実装を生み出していきたいと考えています。お問い合わせは、ワンストップ窓口まで、ぜひお気軽にご連絡ください。
<参考>
※1 特許庁・AI関連発明の出願状況調査
https://www.jpo.go.jp/system/patent/gaiyo/sesaku/ai/ai_shutsugan_chosa.html
※2 AI関連発明に関する審査環境の整備について
https://www.jpo.go.jp/system/patent/gaiyo/sesaku/ai/ai_shutsugan_seibi.html
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