【帯広畜産大学】Elton Amadeus Franciscoさんが2024年度日本土壌肥料学会北海道支部秋季大会で優秀ポスター賞を受賞
令和6年12月5日(木)に、2024年度日本土壌肥料学会北海道支部秋季大会(旭川市)において、大学院博士課程後期2年のElton Amadeus Francisco(エルトンアマデウス フランシスコ)さん(指導教員:谷昌幸教授)が優秀ポスター賞を受賞しました。Elton Amadeus Franciscoさんは、モザンビークからの留学生です。
日本土壌肥料学会は、食糧の生産に深く関係している土壌学、肥料学、植物栄養学の近代的な理論と技術体系を構築することを目的として、1927年に設立されました。以来、国土資源の保全に関連する環境科学の分野等も取り込んで発展を重ね、現在では約2,200名の会員を擁する非常に歴史ある学術団体です。
本秋季大会では、約100名の学会員が参加し、北海道における土壌肥料学に係る最新の研究成果について33題のポスター発表が行われ、優秀ポスター賞に選出される2題のうち、Elton Amadeus Franciscoさんの発表演題「Soil morphological features of Andosols affected by the ancient dunes in the Tokachi Plain(十勝平野に分布する古砂丘が黒ボク土の形態学的特徴に及ぼす影響)」が、そのうちの1つとして選ばれました。
本研究では、十勝平野の南部には、後期更新世に形成された古砂丘と呼ばれる微地形が残っており、その排水性の良さからナガイモ栽培などが盛んに行われています。帯広畜産大学畜産フィールド科学センターにも古砂丘の影響が強く残っている圃場があり、10号圃場の微地形の異なる3地点で土壌断面調査を行い、採取した土壌試料の理化学性や鉱物特性を調べた結果、古砂丘上の位置と傾斜によってアロフェンの生成条件が異なり、それが圃場内のリン酸吸収係数の空間変動に影響している可能性が高いことを示しました。特に、古砂丘上の斜面下部では、約2500年前に降下した樽前山に由来する火山灰の細粒な画分が堆積しやすく、その結果としてリン酸固定力が著しく高いアロフェンが多く生成されていることを明らかにしました。圃場内でリン酸吸収係数が大きく空間言動を示すことがすでに示されており、それらのデータに基づく最適なリン酸可変施肥につながる重要な知見です。
今後は人工衛星画像を解析して土壌固有の特性値を推定するモデルを構築し、その結果に基づいて大規模黒ボク土圃場の有効態リン酸量を推定し、圃場内の可変施肥を実現することを目指していく予定です。食糧の持続的な生産に貢献できる研究成果が期待されます。

来場者に説明するElton Amadeus Franciscoさん

賞状を持って記念撮影するElton Amadeus Franciscoさん