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2025/05/15

国立大学法人北海道国立大学機構メールマガジン Vol.11(令和7年5月号)

目次

【1】独立行政法人国際協力機構(JICA)と包括連携協定を締結しました
【2】研究活動紹介
【3】トピックス


独立行政法人国際協力機構(JICA)と包括連携協定を締結しました

活動概要

当機構と国際協力機構(理事長:田中明彦、本部所在地:東京都千代田区、以下:JICA)は、4月18日(木)にJICA麹町本部にて、包括連携協定署名式を実施しました。

今後、JICAと当機構は商学・農学・工学の領域で技術提供・研修実施などの連携を予定しております。

署名式でJICAの田中理事長は「JICAが目指す、強靭で健全な社会システムづくりを推進するうえで、北海道国立大学機構は強力なパートナーであると認識している。本協定により、北海道国立大学機構との共創と環流が、より良い世界の実現に繋がることを期待しています」と述べられました。

左から穴沢大学総括理事(小樽商科大学長)、長谷山北海道国立大学機構理事長、
田中JICA理事長、長澤大学総括理事(帯広畜産大学長)、榮坂大学総括理事(北見工業大学長)

田中理事長のスピーチ

長谷山理事長のスピーチ

今後の展望

世界がより一層複雑化している今、気候変動、大規模災害、食料、格差、紛争といった複合的課題・地球規模課題解決への期待が高まっています。本包括連携協定を機にJICAと商学・農学・工学を強みとする北海道国立大学機構が連携し、複合的課題・地球規模課題へ向けて社会的なイノベーション創出に貢献することを目指していきます。

【2】研究活動紹介

このコーナーでは、北海道国立大学機構の様々な研究をご紹介して参ります。今回は、帯広畜産大学に最近着任した研究者について、これまで進めてきた/今後帯広畜産大学で進める研究をご紹介いたします。

クマは何を食べているのか、性別や年齢・大きさで異なるクマの食生活を体毛から明らかにする。

研究概要

クマを含め、動物の体は食べた物から得た物質で形成され、その体毛もそのとき食べた物を反映しながら伸長します。よって、体毛の伸長に沿って、窒素と炭素の安定同位体比を測定することで(食べ物の種類によって安定同位体比は異なる。)、各クマが過去に食べた物の種類を推定することができます。

ツキノワグマの体毛を採取して分析した結果、植物中心の食生活を基本としつつも、とくに夏期においては、成熟した(5歳以上)オスの個体ほど、肉食、具体的にはシカを食べる傾向が明らかになりました。

加えて、上記の手法とクマの糞の内容物分析を組み合わせて、シカの生息密度による影響を時系列的に調べた結果、シカに遭遇しづらい低密度期にはオスメスとも食生活は植物中心でしたが、その後高密度になると、メスが植物中心の食生活を続ける一方、オスはシカを食物にする頻度が増加し、さらにその後密度が減少に転じ中密度となっても、一部のオスは選択的にシカを食べ続ける傾向にありました。(1)(2)

これは、シカは植物に比べ手に入れづらい食物であり、そのため、シカを巡るクマの個体どうしの競争が発生し、体の大きいオスがその競争で有利に立ったためではないかと考えられます。

このように、クマの食生活は性別や年齢・大きさにより大きく異なることが分かり、これは食べ物を求めて人里へ出没する個体の原因や特性の検証にも役立つと考えられます。

 

(1)Age- and sex-associated differences in the diet of the Asian black bear: importance of hard mast and sika deer

Tomoko Naganuma, Shinsuke Koike, Rumiko Nakashita, Chinatsu Kozakai, Koji Yamazaki, Shino Furusaka, Koichi Kaji

MAMMAL STUDY 45(2) 155-166 2020年4月

(2)Functional dietary response of Asian black bears to changes in sika deer density

Tomoko Naganuma, Rumiko Nakashita, Kahoko Tochigi, Andreas Zedrosser, Chinatsu Kozakai, Koji Yamazaki, Shinsuke Koike

JOURNAL OF WILDLIFE MANAGEMENT 2022年3月

 

 

 

 

今後の展望

クマの食生活は一様ではなく、性別や年齢・大きさ、利用できる食べ物の量や種類の違いにより、その食事内容は異なります。

これまでツキノワグマについて調べてきましたが、今後、ヒグマを含めさらに多くの生態調査を重ね、その行動・食生活を明らかにしていくことにより、健全な森林生態系及び人間活動との軋轢解消に貢献します。

体毛の安定同位体比測定による食物の推

ツキノワグマからの体毛採取

体毛採取のためのヘアトラップ

 

 

 

 

 

 

 

 

帯広畜産大学

環境農学研究部門 環境生態学分野 環境生態学系 助教 長沼 知子

\PROFILE/

これまで、東京農工大学や農研機構に在籍し、本州においてツキノワグマの生態・行動を10年以上探り続け、その食生活や行動を明らかにしてきました。

昨年7月に帯広畜産大学に着任しましたが、今後、当地においても、ヒグマがどのように行動しているのか、ヘアトラップから得た体毛を調べるなどして、具体的に生態を探っていく予定です。

本件に関する産学官金連携に関するご要望・ご相談はこちら(産学官金連携統合情報センター(IIC) )

 

【3】トピックス

1.【小樽商科大学】令和7年度オープンキャンパスの開催について

小樽商科大学では、オープンキャンパスを以下のとおり開催いたします。

大学の雰囲気を直接体験できる貴重な機会です。多くの方のご来場をお待ちしております。

日時:2025年8月8日(金)10:30~15:30
※プログラムの詳細・申込については、決まり次第、受験生サイトに掲載いたします。
https://nyushi.otaru-uc.ac.jp/examination/opencampus/


2.【帯広畜産大学「令和6年度 学生と地域がつながるまちづくり支援事業「共同研究報告会」を開催

3月11日(火)に、「令和6年度 学生と地域がつながるまちづくり支援事業 共同研究報告会」を開催しました。対面とZoom配信のハイブリッド形式にて行われ、学内外から31名(現地:28名、Zoom:3名)が参加しました。

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3.【帯広畜産大学】「十勝地区農業協同組合長会 デジタル農学寄附講座」を設置

3月25日(火)に、帯広畜産大学特別会議室において、「十勝地区農業協同組合長会 デジタル農学寄附講座」の設置について記者発表を行いました。帯広畜産大学と十勝地区農業協同組合長会は、デジタル技術を活用したスマート農業の研究と人材育成を通じて、地域農業の発展と持続可能性を向上させることを目的に、帯広畜産大学次世代農畜産技術実証センター内に令和7年4月から十勝地区農業協同組合長会デジタル農学寄附講座を設置する運びとなりました。

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4.【帯広畜産大学】垣内香澄さんが日本写真測量学会北海道支部令和6年度第43回学術講演会において優秀発表賞を受賞しました

日本写真測量学会北海道支部令和6年度第43回学術講演会(3月21日(金):札幌市内)において、垣内香澄さん(畜産科学課程環境生態学ユニット4年※受賞当時 指導教員:川村健介准教授)が優秀発表賞を受賞しました。優秀発表賞は、学生部門の発表において優秀な発表者1名を選出し授与されるもので、4名の候補者の中から垣内さんが選出されました。
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5.【帯広畜産大学】忠類ナウマン象記念館と協働作製したヒグマの骨格・毛皮標本が完成

忠類ナウマン象記念館(幕別町)と帯広畜産大学の教員および学生が協働して作製していたヒグマの骨格・毛皮標本が完成しました。この取り組みは、幕別町で捕獲駆除されたヒグマを教育活動に活用し、記念館と学生サークル「えぞほね団」をはじめとした本学学生の協働・交流を活性化することを目的として、実施していたものです。

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6.【帯広畜産大学】第10回 帯広畜産大学 産学官金連携交流会mini ~未利用資源の活用編 Part3~ を開催

4月15日(火)に、第10回 帯広畜産大学 産学官金連携交流会 miniを開催いたしました。第10回となる今回は、『未利用資源の活用』について、本学が取り組む「地域統合・データ駆動型未利用資源活用コンソーシアム」の活動紹介、温暖化ガス低減など環境対応型の飼料に関する先行研究や実際に未利用資源を使った飼料を現場販売している企業の方々の知見を情報共有できる交流会を行いました。会場とオンライン含めて45名の方に参加いただきました。

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7.【北見工業大学】SAFER突発災害調査研究部門の白川龍生准教授が道央・道東・道北42地点における広域積雪調査を実施しました

2025年2月20日(木)~3月5日(水)の期間、地域と歩む防災研究センター(SAFER)突発災害調査研究部門の白川龍生准教授が、北海道内42地点において広域積雪調査を実施しました。これは2014年より毎年実施している調査で、融雪出水期(2月下旬~3月上旬)の直前における北海道内各地の積雪状態を把握するものです。

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8.【北見工業大学】ネーミングライツパートナーの募集を開始しました

本学では、令和7年4月1日(火)より、ネーミングライツパートナーの募集を開始しました。ネーミングライツ事業は、当該する施設等の魅力・知名度の向上を図り、本学及び地域の活性化に資するほか、民間企業等と連携する機会を拡大するとともに、本学の新たな財源を確保し、教育研究環境基盤の強化に資することを目的としています。

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9.【北見工業大学】北見市と北見工業大学の共同提案が2024年度の国際協力機構 (JICA)の「草の根技術協力事業(地域活性型)」に採択されました

このたび、北見市と北見工業大学が共同で提案した「積雪寒冷地における道路の維持管理手法の技術移転と道路技術者育成プログラムの構築に関するプロジェクト」が、2024年度の独立行政法人国際協力機構(JICA)「草の根技術協力事業(地域活性型)」として採択されました。(採択案件一覧はこちら)本事業は、モンゴル国ウランバートル市における道路維持管理技術の向上と技術者育成を目的としており、北見市と北見工業大学が連携しながら実施していきます。(現在進行中の同事業のプロジェクト進捗状況はこちら

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10.【北見工業大学】本学学生2名が「令和6年度 IEICE北海道支部学生会インターネットシンポジウム」において北海道支部学生ブランチ顧問表彰(発表賞)を受賞

2月28日(金)~3月6日(木)に開催された、「令和6年度 IEICE北海道支部学生会インターネットシンポジウム」(主催:電子情報通信学会北海道支部学生会)において、本学学生の飯田雄一さんと西川晴紀さん(地域未来デザイン工学科4年、指導教員:杉坂純一郎准教授)の2名が、北海道支部学生ブランチ顧問表彰(発表賞)を受賞しました。この賞は、本シンポジウムの共催である電子情報通信学会 室蘭工業大学 学生ブランチ、IEEE Muroran Institute of Technology Student Branch、IEEE Hokkaido University Student Branchの各顧問が優秀な発表者を選出し表彰するものです。

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11.【北見工業大学】小学4~6年生対象「春休み親子工作教室」を開催しました

3月30日(日)・31日(月)の両日、本学において、北見工業大学技術部主催の「春休み親子工作教室」を開催しました。このイベントは、小学4~6年生とその保護者を対象に、ものづくりの楽しさを体験してもらうことを目的として毎年実施しているもので、今回は定員を大きく上回る44件の申し込みがあったため抽選を行い、当日は3組の欠席があったものの、計23組の親子が参加しました。

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最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。
今後も定期的に配信をしてまいりますので、是非ご覧ください。


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