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2025/10/28

国立大学法人北海道国立大学機構メールマガジン Vol.16(令和7年10月号)

目次

【1】令和7年度ダイバーシティ推進セミナーを開催
【2】研究活動紹介(北見工業大学 木田 真人 准教授)
【3】トピックス


【1】令和7年度ダイバーシティ推進セミナーを開催

9月5日(金)、北見工業大学講堂において、北海道国立大学機構の役職員を対象に令和7年度ダイバーシティ推進セミナーを開催しました。

北海道国立大学機構では、機構が発足した令和4年度から、機構役職員のダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包摂性)に対する意識醸成を目的に、毎年セミナーを開催しており、今回が第4回目となります。

本年度は、学校法人東京家政学院理事長であり、筑波大学名誉教授の吉武博通氏を講師にお迎えし、「大学組織の変革とダイバーシティ」と題して講演が行われました。講演では、少子高齢化などの社会課題の中で国立大学が果たすべき役割として、多様な人材の育成や地域の持続可能性への貢献が示され、あわせてダイバーシティの尊重とDX推進、教職員の意識改革の重要性が示されました。

詳細はこちらをご覧ください

長谷山理事長による開会挨拶

吉武講師による講演の様子

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パネルディスカッションの様子

榮坂学長による閉会挨拶

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【2】研究活動紹介

このコーナーでは、北海道国立大学機構の様々な研究をご紹介して参ります。今回は、北見工業大学で進められている研究について、ご紹介いたします。

 クラスレートハイドレートを活用したバイオガスのCO2分離に向けた基礎研究

研究概要

都市ガスや発電などのエネルギー源として可燃性のガスであるメタン(CH4)が広く利用されていますが、その大部分は化石資源である天然ガスであり、ほとんどが海外で採掘され日本に運ばれています。

これに対し、牛などの家畜のふん尿などを微生物により嫌気発酵することにより発生するバイオガスは、天然ガスと同じメタンを主成分として含みながら再生可能な非化石資源であり、とくに多数の牛を飼養する北海道各地における地域資源として期待されています。

しかし、バイオガスはメタンだけでなく二酸化炭素(CO2)を多量に含むため、メタンガスとして、またCO2としても有効利用するためには、バイオガスからCO2を分離回収することが求められます。

そこで本研究においては、CO2を効率的に分離回収すべく、CO2分離媒体として最適なクラスレートハイドレート物質(1)と分離条件の探索に取り組んでいます。(※)

クラスレートハイドレートは、外観が氷状の固体で、水分子がカゴ状に結合した骨格の中に他の分子を取り込んだ構造をしています。条件(圧力、温度)に応じ特定の分子が選択的に取り込まれるものであり、よく知られたものとしてメタンの分子が取り込まれたメタンハイドレートがあります。

よって、CO2を選択的に取り込むクラスレートハイドレートを用いれば、一定の条件下(圧力、温度)でバイオガスをそのクラスレートハイドレートと接触させることにより、CO2を固体として回収することが可能となります。

ガスを取り込んだクラスレートハイドレートが固体として安定的である条件(温度、圧力)は種類によって異なり、メタンハイドレートの場合ですと海底や永久凍土環境などのような相当な低温か高圧が維持されないと、メタンを取り込んだ固体の状態を保てず、液体(水)と気体(メタンガス)に分解します。

しかしCO2を選択的に取り込むことができるクラスレートハイドレートの中には、その分解温度がオホーツク地域の気温程度のものがあります。すなわち、バイオガスからCO2を分離回収してメタンガスを精製できても、そのために多くのエネルギーを必要とするようでは本末転倒ですが、オホーツク地域のような冷涼な気候であればクラスレートハイドレートを固体として保つための冷却を必要とせずに、固体として安定的に扱えます。

このように、地域の再生可能・地産地消型資源として期待されるバイオガスのメタン及びCO2の有効利用に向け、クラスレートハイドレートについての研究を進めています。

 

(1)水分子が水素結合でかご状構造(クラスレート構造)を作り、その内部にガス分子などを封じ込めた氷状の物質

 

[※:北見工業大学は北海道ガス株式会社と共同研究契約を締結し、北見工業大学によりバイオガス中のCO2の分離回収に最適なハイドレート物質と分離条件の探索を進めるとともに、北海道ガス株式会社により実用化に向けた検討や技術評価、回収したCO2やバイオメタンの有効利用についての研究を進めることにより、カーボンニュートラル社会の実現に向けてともに取り組んでいます。

https://www-ner.office.kitami-it.ac.jp/press-release11.html

https://www.hokkaido-gas.co.jp/news/20221128 ]

 

クラスレートハイドレートの構造

バイオガスのメタンとCO2の分離

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本研究に関する資料:

・木田真人,「クラスレートハイドレートを活用したバイオガスの CO2分離に向けた基礎研究」,科学技術振興に関する北見・網走地域懇談会(北海道庁)資料3,2023年10月11日

https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/kgs/r5-regional-meeting.html

・「カーボンニュートラル実現に向けた北見工業大学との共同研究について」,北海道ガス株式会社,2022年11月28日

https://www.hokkaido-gas.co.jp/wp-content/uploads/2022/11/HP.pdf

今後の展望

CO2分離回収に最適なクラスレートハイドレート物質とガス分離条件(圧力、温度)の探索を進めるのみならず、広く低炭素資源の有効活用、省エネルギー・低環境負荷技術への応用を見据え、クラスレートハイドレートの物理化学的特性を解明していきます。

 

○ 北見工業大学

工学部 地球環境工学科

准教授 木田 真人

 

\PROFILE/

これまでずっと、クラスレートハイドレートに関連する研究に取り組んできました。

7年前に北見工業大学に戻ってからもその研究を続けており、冷涼な気温下では分解せず固体として安定的に扱うことができるクラスレートハイドレートを寒冷なオホーツク地域の北見で研究できる利点を活かし、これからも、クラスレートハイドレートへのガスの取り込まれ方、結晶の生成・分解挙動などの物理化学的特性を解明してまいります。

本件に関する産学官金連携に関するご要望・ご相談はこちら(産学官金連携統合情報センター(IIC) )

【3】トピックス

1.北海道国立大学機構パンフレット「Dream File」を作成しました

この度、北海道国立大学機構の取組を広くご理解いただくため、パンフレット「Dream File」を発行いたしましたので、是非ご覧ください。

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2.【小樽商科大学】令和7年度学位記授与式(9月卒業)を挙行しました

令和7年9月18日(木)、小樽商科大学事務棟第2会議室にて、令和7年度学位記授与式(9月卒業)を挙行し、商学部12名が卒業しました。当日は、6名の卒業生が出席し、穴沢学長から出席者一人一人に対して学位記が手渡されました。その後の告辞では、穴沢学長から未来を担う若者への期待と励ましの言葉が贈られました。

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3.【帯広畜産大学】ミルク&チーズコンソーシアムのWebサイト開設について

令和6年度に酪農産業の持続可能な発展に貢献することを目的とし、「ミルク&チーズコンソーシアム」を設置しておりますが、この度、ミルク&チーズコンソーシアムのWebサイトを開設いたしましたので、お知らせします。コンソーシアム活動について分かりやすく情報発信していきますので、ぜひご覧ください。

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4.【帯広畜産大学】「ほっかいどう未来チャレンジ基金」海外留学の出発挨拶を行いました

令和7年8月26日(火)に、日山莉子さん(共同獣医学課程5年)が海外留学前に学長を訪問しました。日山さんは、ほっかいどう未来チャレンジ基金による未来人財応援事業第8期海外留学生に選ばれ、モンゴルへ留学します。北海道未来人財応援事業(学生留学コース)は、将来を担う若者が、地域の課題解決や強みを活かす分野で海外に挑戦することを支援する制度です。北海道に住み、北海道の発展に貢献する意欲と能力を持つ学生が、自ら企画・立案した留学計画に基づき、海外で実践的な活動を行う際に、「ほっかいどう未来チャレンジ基金」から必要な経費の一部が助成されます。

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5.【帯広畜産大学】「大学見本市2025」に出展しました

2025年8月21日(木)・22日(金)の2日間、日本最大級の産学連携イベント「大学見本市2025 イノベーション・ジャパン」が東京ビッグサイトで開催され、14,208名の来場者を迎えました。本イベントでは、全国の大学・研究機関から創出された291件の研究成果が分野別に展示され、研究者自身がブースで来場者に向けて説明を行いました。研究成果の社会還元や技術移転の促進、実用化に向けた産学連携のマッチング支援を目的としています。

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6.【帯広畜産大学】吹奏楽部が第70回北海道吹奏楽コンクールで金賞を受賞しました

令和7年8月28日(木)~8月31日(日)に、札幌コンサートホールKitaraで開催された「第70回北海道吹奏楽コンクール」において、帯広畜産大学吹奏楽部が大学小編成の部で金賞を受賞しました。「大学小編成の部」は、演奏に参加できる人数が最大35名以内に制限されている部門で、少人数ならではの一体感や各パートの表現力が求められます。今回、帯広畜産大学吹奏楽部は「風姿花伝」を演奏しました。吹奏楽部は、学業と両立しながら週3回の練習を重ね、技術の向上を目指しています。特に大会前の1週間は毎日練習に励み、演奏の完成度を高めました。また、学内行事での演奏や地域イベントに参加するなど、幅広い活動を行っており、こうした日々の積み重ねが、今回の金賞受賞につながりました。

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7.【帯広畜産大学】金高陶子さんの所属チームが第6回日本ミックスカーリング選手権大会で初優勝!

令和7年8月21日(木)~24日(日)に長野県軽井沢町で開催された「第6回日本ミックスカーリング選手権大会」において、金高陶子さん(共同獣医学課程5年)の所属する帯広協会チームが優勝しました。これは十勝勢としては初の快挙です。決勝では、全道大会決勝で敗れた強豪「Team Kawano」を7-4で破り、雪辱を果たしました。

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8.【帯広畜産大学】馬術部が第61回北日本学生馬術大会で好成績!全国大会出場権を獲得

令和7年9月4日(木)~8日(月)に、苫小牧市のノーザンホースパークにおいて開催された「第61回北日本学生馬術大会」で帯広畜産大学馬術部が素晴らしい成績を収め、複数名が全国大会へ出場することになりました。この大会には北海道・東北地区の8大学が出場し、3日間にわたり競技が行われました。競技は、馬場馬術(馬を思い通りに動かす技術)、クロスカントリー(自然地形の障害物を駆け抜ける耐久力)、障害飛越(障害物を崩さずに飛越する正確さ)で構成されています。

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9.【帯広畜産大学】稲垣凌吾さんが日本畜産学会第133回大会において優秀発表賞を受賞しました

令和7年9月12日(金)~15日(月)に岐阜大学で開催された日本畜産学会第133回大会において、稲垣凌吾さん(大学院博士前期課程畜産科学専攻1年、指導教員:萩谷功一教授)が優秀発表賞を受賞しました。この賞は、日本畜産学会の選考委員会による審査を経て、若手研究者の優れた発表に対して授与される賞です。稲垣さんの発表演題は、「ホルスタイン種雄牛における精液性状形質の近交退化に関連するゲノム領域の解析」です。

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10.【北見工業大学】学部改組のお知らせ

北見工業大学は、令和8(2026)年4月、社会の要請に柔軟に応じるため、現在の2学科8コースから、ITやデータサイエンスを全学共通基礎教育科目として充実させた1学科複数分野へ改組します。

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11.【北見工業大学】「アントレワークキャンプ2025 in 斜里」を開催しました

8月29日(金)、北見工業大学オンラインセミナー「数理・データサイエンス・AI教育と取組紹介」を開催しました。本セミナーは、本学が参画する「数理・データサイエンス・AI教育強化拠点コンソーシアム」(以下、コンソーシアム)の活動の一環として実施されたもので、全国から約50名の皆様にご参加いただきました。当日は、本学の平山浩一副学長の挨拶に続き、工学院大学からお招きした三木良雄教授、田中久弥教授より「実データと実課題で学ぶDX実践ラボのデータサイエンス」と題して、令和5年度文部科学省「大学・高専機能強化支援事業」に採択された「DX実践ラボ」の取り組みについてご講演いただきました。講演では、実データを活用した教育手法や、デジタルトランスフォーメーション(DX)に対応した実践的な学びの場としての取り組みが紹介されました。

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12.【北見工業大学】本学大学院生が「Chitose International Forum on Science & Technology 2025」においてBEST PAPER AWARDを受賞

9月4日(木)~5日(金)、公立千歳科学技術大学(千歳市)で開催された「Chitose International Forum on Science & Technology 2025」において、本学大学院生の市川晴雪さん(博士後期課程 共創工学専攻2年、指導教員:陽川憲准教授)がBEST PAPER AWARDを受賞しました。

市川さんは、「Increased Lettuce Yield by LED irradiation to Roots in Hydroponics」という題目で発表を行いました。

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13.【北見工業大学】榮坂学長らがモンゴルを訪問しました

9月21日(日)~22日(月)の2日間、本学の榮坂俊雄学長、国際交流センターの教職員2名が、モンゴル国立大学、新モンゴル学園、独立行政法人 国際協力機構(JICA)モンゴル事務所を訪問しました。モンゴル国立大学では、榮坂学長からオチルフヤグ・バヤンジャルガル学長に対し、協定締結への感謝の意を伝えました。また、本訪問に先駆け、本学応用化学系の新井博文教授、フォン・チャオフイ准教授と大学院生が参加したバイオ系のシンポジウムも開催され、成功裏に終えたことを共に喜びました。同学には、本学OGのソブドマ上級講師とオユンデルゲル講師が在籍しており、今後も卒業生を介して、交流を推進していくことを確認しました。(モンゴル国立大学HPの掲載記事はこちら

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14.【北見工業大学】交通工学研究室の吉田昴さんが土木学会第30回舗装工学講演会において優秀講演者賞を受賞

8月27日(水)~29日(金)、北海道科学大学(札幌市)で開催された「第30回舗装工学講演会」(主催:公益社団法人 土木学会)において、交通工学研究室に所属する吉田昴さん(博士前期課程 工学専攻 社会環境工学プログラム1年、主指導教員:富山和也教授)が、優秀講演者賞を受賞しました。この賞は、本講演会において優れた研究発表を行った35歳未満の若手研究者・技術者に贈られるものです。吉田さんは今年度、JSPS科研費(23K4056)の助成を受け、大林道路株式会社と共同で実施している研究の成果について「歩行者の体幹加速度に影響を及ぼす路面についての検討」と題し、口頭発表を行いました。

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最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。
今後も定期的に配信をしてまいりますので、是非ご覧ください。


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