IIC News Letter 第25号(令和8年10月配信)
<IIC News Letter第25号>

北海道国立大学機構(北学機構)・産学官金連携統合情報センター(IIC)がお届けするニュースレターです。
研究や人材育成の取り組み、行政・サービス機関、産業界からの最新情報をわかりやすく皆様にお届けします。
目次
1. スマート農業で補完できる労働力は?
2. 北海道の商品は、どうやって本州の店頭に届くのか?
3. 観光客が増えたら、地域経済はどれくらい潤う?
【お知らせ】北海道共創イノベーションシンポジウム(12月1日)
1.スマート農業で補完できる労働力は?
今年度、帯広市を含む十勝管内19市町村は、AI農業の研究開発や実証、社会実装を進める「十勝AI農業特区」として国家戦略特区に指定されました。
十勝地域の人口は約32万人、生産年齢人口(15~64歳)は約18万人です。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計によると、2045年までに人口は20~30%程度減少すると見込まれており、地域経済を支える労働力の確保が大きな課題となっています。
こうした課題への有効な対策の一つがスマート農業です。農林水産省や農研機構の実証試験では、期待される作業時間の削減率は、ロボットトラクターで約30%、ドローン散布で約60%、搾乳ロボットで約40%だそうです。導入する技術や経営規模によって効果は異なりますが、十勝のような大規模畑作・酪農経営では、農場全体で20~40%程度の省力化が期待できます。
また、帯広市が公表している資料によると、ロボットトラクターやGPSガイダンスなどの導入拡大を背景に、市内のスマート農業普及率は2024年度時点で64.1%に達しているそうです。なお、この数値は帯広市独自の指標であり、十勝全域の普及率を示すものではありませんが、地域におけるスマート農業の浸透状況を示す参考データといえます。
これらのデータをもとに試算すると、スマート農業が十勝地域全体に普及した場合、将来的には4,500~9,000人分の労働力を補完できる可能性があります。
しかし一方で、2045年までに十勝地域全体では約3.6~5.4万人規模の労働力減少が見込まれています。したがって、十勝地域の産業力の維持発展のためには、介護、建設、物流、除雪、地域交通などの農業以外の分野でも、AIやロボット技術の導入を進め、地域全体で省人化・自動化を図っていくことが不可欠です。

お問い合わせは、ワンストップ窓口まで。
2.北海道の商品は、どうやって本州の店頭に届くのか?

北海道産の農水産物や食品を全国の消費者へ届けるために、トラック、鉄道、船舶、航空機などを組み合わせた物流が重要な役割を担っています。特に、本州と陸続きではない北海道では、港湾や空港を活用した輸送体制が欠かせません。
また、物流は単に物を運ぶだけでなく、食品の温度管理や鮮度維持、安定供給を支える、地域産業の重要な基盤です。
一方、物流を取り巻く環境は変化しており、効率化に向けた対応が求められています。北海道開発局が公表した中継輸送の実証実験に関する資料でも、農水産品の輸送量の季節変動や、往路と復路で貨物量が異なる「片荷輸送」などが課題として挙げられています※1。
※1 北海道開発局「道路施設等を活用した中継輸送の効果を取りまとめました」
https://www.hkd.mlit.go.jp/ky/release/slo5pa000001eo6g-att/slo5pa0610doukei02.pdf
こうした課題の解決には、輸送技術の改善に加え、物流の仕組みや事業の採算性など、多角的な視点からの検討が必要です。生産者、運送事業者、食品メーカー、販売事業者などが連携し、「何を作るか」だけでなく「どう届けるか」を考えることが、北海道の産業の持続的な発展につながります。
北海道国立大学機構(北学機構)が進める商学・農畜産学・工学の分野横断的な連携も、こうした地域課題を幅広い視点から捉える取り組みと接点があります。大学の専門知と企業・地域の実践を結び付けることで、北海道の食と物流が抱える課題への新たな解決策や連携の可能性が期待されています。
お問い合わせは、ワンストップ窓口まで。
3.観光客が増えたら、地域経済はどれくらい潤う?

観光客の増加は地域経済にとって好ましいことと思われがちですが、その効果は来訪者の数だけでは測れません。重要なのは、観光客が地域でどれだけお金を使い、その支出が地域経済にどのように波及するかという視点です。
例えば、同じ人数でも、日帰り客と宿泊客では観光消費額や消費の内容が異なります。また、仕入れやサービス提供を通じて、消費の一部が地域外へ流出する場合もあります。
北海道の観光を分析する際には、観光入込客数だけでなく、宿泊者数、観光消費額、滞在期間、季節ごとの変動などを組み合わせて見ることが重要です。北海道では、観光入込客数などの統計資料が公表されており、こうしたデータから地域ごとの特徴や課題を把握できます※2。
※2 北海道「2026 北海道の交通の状況 輸送の動向」
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/1/3/1/2/8/3/3/6/_/2.%E8%BC%B8%E9%80%81%E3%81%AE%E5%8B%95%E5%90%91%E7%AD%89(1.%E6%A6%82%E6%B3%81)(P6-11).pdf
また、繁忙期と閑散期の差は、観光関連産業の人材確保や設備投資にも影響します。
観光を地域活性化につなげるには、食や体験サービスなど地域の産業との連携に加え、交通や雇用との関係も踏まえた取り組みが欠かせません。「何人来たか」だけでなく、「どれだけ滞在し、何にお金を使い、その支出が地域にどう還元されるか」という視点が求められます。
北海道国立大学機構(北学機構)では、地域課題の分析や解決に向けた連携を進めています。観光データの分析と、商学・農畜産学・工学などの多様な知見を組み合わせることで、地域の実情に応じた観光振興や、持続可能な地域づくりへの貢献を目指しています。
お問い合わせは、ワンストップ窓口まで。
【お知らせ】北海道共創イノベーションシンポジウム(12月1日)
北海道の未来をつくる共創の舞台へ。
企業・自治体・大学・研究機関が一堂に会し、地域課題解決や新事業創出につながる研究シーズとニーズのマッチングを行います。
全国の産学連携の新しい潮流やオープンイノベーションの取組を学ぶとともに、多彩なポスター発表と交流を通じて新たなネットワークを構築。
次のプロジェクトやビジネスの種を見つける絶好の機会です。
ぜひご参加ください。
【日時】2026年12月1日(火)13:00-17:00
【会場】ANAクラウンプラザホテル札幌 3F「鳳」
(札幌市中央区北3条西1丁目2-9)
主催:
ノーステック財団
北海道国立大学機構オープンイノベーションセンター(ACE)
詳しくは、こちら。

———————————————————————————————————————
IIC News Letterでは、地域の課題を解決し、新たな価値を共創するための情報を発信しています。また、企業へのインタビューなどを通して、地域の未来をいっしょに考える場づくりにも活用しています。
ご意見、ご要望もお待ちしています。お気軽にお問合せください。
国立大学法人北海道国立大学機構
産学官金連携統合情報センター(IIC)
〒080-8555 帯広市稲田町西2線11番地
Tel:0155-65-4344
E-Mail:iic@office.nuc-hokkaido.ac.jp
IIC News Letter の停止はiic@office.nuc-hokkaido.ac.jpまでご連絡ください。