【帯広畜産大学】博士前期課程畜産科学専攻2年の梶川和輝さんと博士後期課程畜産科学専攻1年の宮田あゆさんが日本畜産学会国際会議優秀発表賞を受賞
大学院博士前期課程畜産科学専攻2年の梶川和輝さん(指導教員:萩谷功一准教授)及び大学院博士後期課程畜産科学専攻1年の宮田あゆさん(指導教員:口田圭吾教授)の2名が2024年度日本畜産学会国際会議優秀発表賞を受賞しました。
本賞は、The 20th Asian Asian-Australasian Association of Animal Production (AAAP) Congress Congress(第20回アジア太平洋州畜産学会大会、7月9日(火)~12日(金):オーストラリア・メルボルン)に参加する日本国内の若手研究者を対象に、日本畜産学会の選考委員会による発表内容の審査を経て授与される賞です。
梶川さんは、「日本の酪農家における温度と湿度における欠測値を推定するための方法の比較」と題した研究成果を発表しました。乳牛は暑熱に弱いことが課題のひとつです。乳牛に対する毎日の暑熱の影響は、牛舎内に設置した温湿度計や気象庁が公表している気象観測記録によって把握します。しかし、いずれも停電や機器の故障などの理由によって欠測(記録の欠損)を生じることがあります。そのようなトラブルがあると、その期間の牛舎内の暑熱環境がわからなくなってしまうことが問題でした。梶川さんは、当該牛舎における過去の記録や近隣の気象台による気象記録から牛舎の気温・湿度を推定するために応用できるいくつかの方法を比較し、牛舎の気温・湿度を高い精度で推定できることを報告しました。
宮田さんは、「黒毛和種の脂肪交雑の細かさに関する画像解析形質と脂肪酸組成についての遺伝的パラメーターの推定」と題した研究成果を発表しました。黒毛和種牛肉は、サシと呼ばれる筋肉内の細かい脂肪粒子(脂肪交雑)を多く含むことが大きな特徴ですが、近年はその「食味性」を向上させる技術についても注目が集まっています。宮田さんは4,000頭以上から得た枝肉断面画像と脂肪サンプルからサシの細かさと牛肉の食味性に関連するとされる形質である脂肪酸組成について解析し、それらの遺伝的パラメーター(遺伝のしやすさの程度を表す遺伝率など)を推定しました。宮田さんの研究成果は、黒毛和種牛肉の食味性を遺伝的に改良可能であることを示すものでした。
梶川さんは「研究遂行にあたり、家畜改良事業団よりデータを提供いただきました。また、小岩井農場の皆様より有益なご助言をいただきました。共同研究者、先生方、先輩方など、多くの方々のおかげでこのような賞をいただきました。皆さまに感謝いたします。」と語りました。
宮田さんは「初の国際学会参加でこのような栄誉ある賞をいただき、大変光栄に思います。『枝肉横断面の画像解析』という研究分野において、幅広く活躍している海外の研究者の方々と交流ができたのは良い刺激となりました。今後も成果を継続的に世界に発信していけるよう、研究に励んでいく所存です」とそれぞれ受賞の喜びを語りました。
受賞した梶川さんと宮田さん(左から)