国立大学法人北海道国立大学機構メールマガジン Vol.4(令和6年10月号)
目次
【1】研究活動紹介(道内広葉樹の資源管理と効率的活用を目指したDX推進)
【2】教育活動紹介(小樽商科大学:グローカルコースで世界と地域をつなぐ人材を育成~グローカル教育と展望~)
【3】イベントのご案内
【4】トピックス
【1】研究活動紹介(道内広葉樹の資源管理と効率的活用を目指したDX推進)
このコーナーでは、北海道国立大学機構の様々な研究内容を何回かに分けてご紹介して参ります。
当機構では、経営統合に伴い、様々な地域課題解決・経済社会の発展に向けて、3大学の農畜産学(Agriculture)・商学(Commerce)・工学(Engineering)の英知を結集し異分野融合の研究を推進する、オープンイノベーションセンター(通称:ACE【エース】)を設置しております。前回に続き、ACEを中心として進めている研究について、ご紹介いたします。
道内広葉樹の資源管理と効率的活用を目指したDX推進
三枝昌弘(北見工業大学)、川口貴之(北見工業大学)、北川泰治郎(小樽商科大学)
家具等に使用される北海道産広葉樹は、ウッドショック等の影響で不足しており、銘木市等において高値で取引されています。一方、道産広葉樹の多くは、山元で価値が精査されないまま、バイオマス発電のためのチップ材として出荷される等しています。
良質な北海道産広葉樹を、より付加価値の高い製品を生み出す「川下企業(家具業界等)」に届けるためには、「川上(山元)」に存在する広葉樹に関する的確な情報を把握する必要があります。広葉樹について、胸高直径、枝下通直性、樹種といった情報を得ることが重要ですが、広葉樹は針葉樹と異なり、枝葉が広がっているため、無人航空機UAV等による上空からの撮影では情報の取得が困難です。
そこで、地上からの林地調査手法として、360度カメラ付きバックパック型3Dスキャナーによる撮影を行い、胸高直径および枝下通直性のデジタル保存方法の確立と検証を行っています。これにより、胸高直径、樹皮の状態、幹の形状、森林の3Dマップ等の情報を組み合わせた、視覚的にわかりやすいデータを取得でき、樹木全面の情報をPC上で容易に閲覧可能となります。
北海道産広葉樹の情報共有システムを構築することにより、北海道産素材の高付加価値活用、サプライチェーン最適化による物流コストの削減、DX化及び適正取引による林業の担い手不足の解消、森林の適正管理といった地域課題、社会課題の解決を目指します。
【2】教育活動紹介(小樽商科大学:グローカルコースで世界と地域をつなぐ人材を育成~グローカル教育と展望~)
小樽商科大学では、2013年に「No.1グローカル大学宣言」を行い、グローバル時代の地域マネジメントの拠点として、北海道経済の発展に貢献することを改めて確認し、以降10年間にわたりグローバルな視野のもとでローカル(地域や国)の視点から考え行動できる人材(=グローカル人材)の育成に取り組み、2021年度に新たな教育課程「グローカルコース」を設置しました。
「グローカルコース」は、地球規模の視野で学びながら異文化理解を深め、複雑化する地域社会の問題解決に貢献できる人材育成を目指す主専攻コースです。入学定員20名の少人数制で、海外からの留学生とともに英語で受講する経済・商学系の専門科目や初年次から必修科目としてコース専用のゼミナール系科目を配置し、4年間を通して一貫したグローカル教育を提供しています。
本コースの入学者は、コースとともに新設された「グローカル総合入試(総合型選抜)」で選抜されます。これは、入学後に英語で専門分野を学ぶため、高い英語の運用能力や思考力・判断力、そして主体性や協働性など総合的な評価が必要となるためです。学生の多様性確保の観点から、文系・理系で枠を分けて、それぞれに英語でのグループディスカッションや英語を主体とした口頭試問などを実施しています。なお、この入試制度は、2022年8月に文部科学省高等教育局が公表した「令和3年度大学入学者選抜における好事例集」において、「総合的な英語力の評価・育成」の区分において選定されています。
また、本コースでは、全国的にも例のない入学猶予制度を伴う「ギャップイヤープログラム」を整備しています。本学の「ギャップイヤープログラム」は、入試合格者のうち希望者は本学への入学を1年間猶予し、ハワイ・コミュニティカレッジをはじめとした協定締結大学への留学等のプログラムに参加することができるプログラムです。入学前に多様な経験を積むことで、大学での目標や将来の進路を明確化することを期待しています。本コース所属学生はギャップイヤープログラムを含む留学に参加することになっています。
さらに、北海道の企業や自治体におけるインターンシップやフィールドワークを踏み込んだ授業を提供し、グローバルな視点を養いながら、地域根ざした学びを深める機会を創出しています。
ギャップイヤープログラムの検証や新たな留学支援制度の構築等を通して、グローカルコースをさらに発展させ、グローカル教育を一層加速させていきます。
さらに、グローカル人材の育成を基に、複雑化・多様化する社会課題に対応できる多面的な知識と柔軟な思考力をもつ人材育成を目指し、学部カリキュラムを抜本的に見直していきます。新カリキュラムでは、これまでになかった多様な価値観を認めながら、変革期の社会課題に対して自分の力で答えを導き出す力を養うため、データサイエンス教育の体系化や教養教育の見直しなど、時代に即した教育内容への改革を行います。
また、東北以北で唯一通学制でMBAを取得できるビジネススクール(アントレプレナーシップ専攻)を持つ本学は、その教育ノウハウとこれまでの歴史で培った産学官連携ネットワークを生かして、学部学生に「アントレプレナーシップ副専攻プログラム」を導入しました。本副専攻プログラムでは、広く「革新」を実行しうる意識(アントレプレナーシップ)と能力を身に着けることで、北海道の産業と経済の活性化に資する将来のビジネス・リーダー及びビジネス・イノベーターを育成することを目的としてます。多様な地域課題・企業ニーズを取り入れた教育プロジェクトをカリキュラムに組み込んだ、実践的な教育を提供します。
【3】イベントのご案内
1.令和6年度 HACCP・食品安全管理プログラム「帯広セミナー」
北海道国立大学機構 教育イノベーションセンターでは、「HACCP・食品安全管理プログラム」を開催いたします。
本プログラムでは、企業の事例を基にHACCPの基礎を学ぶ内容となっていますので、食品事業者の方、食品安全管理に関心のある方等、この機会にぜひ受講してください。
・開催日時:10月21日(月) 13:30~16:30
・場所:帯広畜産大学
詳細及びお申込みはこちらをご覧ください。
2.リカレント基礎教育講座「インフラの防災・維持管理を担う技術者のための基礎講座」
北海道国立大学機構 教育イノベーションセンターでは、リカレント基礎教育講座として、「インフラの防災・維持管理を担う技術者のための基礎講座」を開催します。今年度のプログラムでは、計5回の基礎講座を開催いたします。1回だけの参加も可能です。多くの皆様のご参加をお待ちしております。
・開催日時:10月24日(木)~11月26日(火)
・場所:札幌エルプラザ4階大研修室又はオンライン
・定員:会場受講(先着50名)、オンライン受講(人数制限なし)
詳細及びお申込みはこちらをご覧ください。
3.【帯広畜産大学】フードバレーとかち 人材育成事業特別講習「農業関連セミナー」
帯広畜産大学と帯広市では、フードバレーとかち人材育成事業の取組みの一環として、広く一般市民を対象に特別講習「農業関連セミナー」を開催します。
・開催日時:11月5日(火)~11月22日(金)
・場所:帯広畜産大学又はオンライン
・対象:農畜産業、企業、団体、行政機関等に所属する社会人(30名程度)
詳細及びお申込みはこちらをご覧ください。
【4】トピックス
1.国立大学法人北海道国立大学機構財務レポート2024を公開しました
当機構の令和5年度の財務情報や教育・研究等の成果・実績等をまとめた「財務レポート2024」を公開いたしました。
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2.【小樽商科大学】さくらCSホールディングス株式会社と包括連携協定を締結しました
小樽商科大学とさくらCSホールディングス株式会社は、8月22日に小樽商科大学の有する道内研究基盤、企業経営ナレッジおよび研究環境と、さくらCSホールディングス株式会社の有する介護福祉サービスならびに人材育成活動を融合させ、北海道産業の振興・北海道経済の活性化に寄与することを目的とする連携協定を締結しました。
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3.【小樽商科大学】短期留学プログラム(YOUC)のプロモーション動画が完成しました
小樽商科大学では、この度グローカル教育部門において、海外からの留学生向け短期留学プログラム(YOUCプログラム)のプロモーション動画を作成しました。今回作成した動画は、主に海外からの留学生向けの内容となりますが、学内における国際交流の様子や英語で受講する授業の様子などの映像を視聴することができますので、ぜひご覧ください。
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4.【帯広畜産大学】博士後期課程畜産科学専攻2年の開澤菜月さんが第1回アジア土壌動物学会においてBest Presentation Award を受賞
第1回アジア土壌動物学会(The first Asian Colloquium of Soil Zoology)において、帯広畜産大学大学院博士後期課程畜産科学専攻(環境生態学コース)2年の開澤菜月さん(指導教員:山内健生准教授)がBest Presentation Awardを受賞しました。開澤さんは「Centipedes and millipedes active in winter in eastern Japan」というポスターで、弘前大学との共同研究の成果を報告しました。
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5.【帯広畜産大学】帯広畜産大学新厩舎完成披露記念式典を挙行
帯広畜産大学では、8月7日(水)に、新厩舎において、帯広畜産大学新厩舎完成披露記念式典を挙行しました。この新厩舎は、日本の馬産業を支える専門的な知識や高度な技術力を持つ人材の育成・輩出のため、本学における馬生産育成教育施設として整備を進め、このたび完成したものです。
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6.【帯広畜産大学】肉牛サークルが生産した和牛「もね」が「第33回北海道肉用牛共進会」において「優等賞2席」に入賞
8月31日(土)に音更町で開催された「第33回北海道肉用牛共進会」において、帯広畜産大学肉牛サークルが生産した和牛「もね」が第1部門の優等賞2席のうちの1頭に選ばれました。北海道肉用牛共進会は、北海道内の各地区から選ばれた黒毛和種(肉用牛)の代表牛が集まるコンテストで、月齢などの条件別に10部門で日頃の改良と飼養管理の成果が競われるものです。
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7.【北見工業大学】榮坂学長らがモンゴルを訪問しました
9月11日(水)~14日(土)の4日間、北見工業大学の榮坂俊雄学長、升井洋志情報処理センター長・教授、国際交流センターの鈴木衛講師らが、独立行政法人 国際協力機構(JICA)モンゴル事務所、モンゴル科学技術大学、新モンゴル学園を訪問しました。
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